映画『信虎』

10月22日(金)よりTOHOシネマズ甲府にて先行公開! 11月12日 (金) よりTOHOシネマズ日本橋ほか全国公開!


寺田農/谷村美月・矢野聖人・荒井敦史/榎木孝明・永島敏行・渡辺裕之/隆大介・嘉門タツオ・石垣佑磨/左伴彩佳(AKB48)・柏原収史

監督:金子修介
製作総指揮・企画・共同監督・編集・美術・装飾:宮下玄覇 
脚本:宮下玄覇 
プロデューサー:西田宣善 協力プロデューサー:榎望 
音楽:池辺晋一郎 撮影:上野彰吾 美術・装飾:宮下玄覇 照明:赤津淳一 整音:臼井勝 音響効果:丹雄二 
衣裳:宮本まさ江 メイク:江川悦子 VFX:オダイッセイ  
製作:ミヤオビピクチャーズ  
2021年/日本/日本語/カラー/ワイド/ステレオ/135分/配給:彩プロ PG-12 
©ミヤオビピクチャーズ


イントロダクション
平成『ガメラ』シリーズ(1995~1999)・『デスノート』(2006)の金子修介監督と歴史美術研究家の宮下玄覇共同監督が放つ“新”戦国時代劇『信虎』。黒澤映画を彷彿【ほうふつ】とさせる本格時代劇でありながら、随所に〝本物〟へのこだわりが詰まった、意欲的・野心的な作品に仕上がった。これまでにない新感覚のテイストを併せ持ち、作り物である時代劇を見ているというより、あたかも時代の一場面を目撃していると錯覚させるかのようなリアルさが、本作最大の特色といえるだろう。

戦国の名将 武田信玄の父・信虎は信玄によって追放され、駿河を経て京に移り、足利将軍家の奉公衆となる。追放より30年の時が流れた元亀4年(1573)、信玄が危篤に陥ったことを知った信虎は、再び武田家にて復権するため甲斐への帰国を試みるも、信濃において勝頼とその寵臣【ちょうしん】に阻まれる。信虎は、織田信長との決戦にはやる勝頼の暴走を止められるのか。齢【よわい】80の「虎」が、武田家存続のため最後の知略を巡らせる――。

主演の寺田 農は、ジブリ映画『天空の城ラピュタ』(1986)のムスカ大佐の声優として知られ、また数々の大河ドラマなどの時代劇作品に出演し、相米慎二監督『ラブホテル』(1985)以来36年ぶりの主演作。寺田の演技は、まるで信虎が乗り移ったかのように迫力に満ちている。谷村美月がヒロインのお直を美しく演じるほか、榎木孝明、永島敏行、渡辺裕之らベテラン俳優が重要人物として出演している。また矢野聖人、荒井敦史、石垣佑磨の若手俳優も戦国乱世の激動の時代を生き抜く姿を演じ、豪華な布陣となっている。なお、本作は『影武者』の織田信長役でデビューした隆 大介の遺作であり、彼に捧げられている。  

本作の音楽を担当したのは、『影武者』(1980)など後期 黒澤明作品や今村 昌平の一連の作品に携わった池辺 晋一郎。撮影は『恋人たち』(2015)の上野彰吾、照明の赤淳 一、衣裳の宮本まさ江、特殊メイクスーパーバイザーの江川悦子、美術・装飾の籠尾和人、VFXのオダイッセイら、日本映画の最高峰の叡智を結集した。武田氏研究の第一人者・平山 優も武田家考証として参加している。共同監督の宮下は、戦国時代を忠実に再現するために髷【まげ】・衣裳・甲冑・旗・馬・所作・音などディティールに徹底的にこだわった。

『影武者』(1980)より40年余、『天と地と』(1990)より30年余。2021年は武田信玄生誕500年、2022年は武田信玄450回忌の記念イヤーである。
ストーリー
武田信虎入道(寺田 農)は息子・信玄(永島敏行)に甲斐国を追放された後、駿河を経て京で足利将軍に仕えていた。元亀4年(1573)、すでに80歳になっていた信虎は、信玄の上洛を心待ちにしていたが、武田軍が国に兵を引き、信玄が危篤に陥っていることを知る。武田家での復権の好機と考えた信虎は、家老の土屋伝助(隆 大介)と清水式部丞(伊藤洋三郎)、末娘のお直(谷村美月)、側近の黒川新助(矢野聖人)、海賊衆、透破(忍者)、愛猿・勿来(なこそ)などを伴い、祖国・甲斐への帰国を目指す。途中、織田方に行く手を阻まれるも、やっとの思いで信濃高遠城にたどり着いた信虎は、六男・武田逍遥軒(永島敏行・二役)に甲斐入国を拒まれる。信玄が他界し、勝頼が当主の座についたことを聞かされた信虎は、勝頼(荒井敦史)との面会を切望する。

そして3カ月後、ついに勝頼が高遠城に姿を現す。勝頼をはじめ、信虎の子・逍遥軒と一条信龍(杉浦太陽)、勝頼の取次役・跡部勝資(安藤一夫)と長坂釣閑斎(堀内正美)、信玄が育てた宿老たち、山県昌景(葛山信吾)・馬場信春(永倉大輔)・内藤昌秀(井田國彦)・春日弾正(川野太郎)が一堂に会することになる。信虎は居並ぶ宿老たちに、自分が国主に返り咲くことが武田家を存続させる道であることを説くが、織田との決戦にはやる勝頼と、跡部・長坂ら寵臣に却下される。

自らの無力さを思い知らされた信虎は、かつて信直(石垣佑磨)と名乗っていた頃に、身延山久遠寺の日伝上人(螢 雪次朗)から言われたことを思い出す。そして武田家を存続させることが自分の使命であると悟り、そのためにあらゆる手を尽くすのであった。上野(こうずけ)で武田攻めの最中だった上杉謙信(榎木孝明)が矛先を変えたのは、信虎からの書状に目を通したからであった。

お家存続のために最後の力を振り絞った信虎だったが、ついに寿命が尽き、娘のお直とお弌(左伴彩佳 AKB48)や旧臣・孕石源右衛門尉 (剛たつひと)たちに看取られて息を引き取る。

その後、勝頼の失政が続き、天正10年(1582)、織田信長(渡辺裕之)による武田攻めによって一門の木曽義昌ほか穴山信君(橋本一郎)が謀叛を起こし、勝頼は討死、妻の北の方(西川可奈子)も殉じ、武田家は滅亡する。以前、武田家臣・安左衛門尉(嘉門タツオ)が受けた神託が現実のものとなった。

信虎がこの世を去ってから百数十年後の元禄14年(1701)、甲斐武田家の一族で、五代将軍徳川綱吉の側用人・柳澤保明(後の吉保、柏原収史)は、四男坊・横手伊織(鳥越壮真)に、祖父と関係があった信虎の晩年の活躍を語る。この物語は、果たしてどのような結末を迎えるのだろうか――。

コメント
信虎目線でみごとに描ききった武田盛衰記  ふつう、武田信虎というと、悪逆無道の行為が行きすぎ、息子信玄によって駿河に追放されたみじめな武将といったイメージでとらえられている。しかも、身柄引き取り手だった今川義元が桶狭間で織田信長に討たれると、駿河にも居られず、上京し、高野山や西国を遍歴・流浪し、最後は、信濃高遠でひっそり生涯を閉じたとされている。甲斐から駿河へ追放された後は、その存在感は無きに等しい生涯だったというのが通説である。  ところが、今回の「信虎」はそうした通説を打破しようとする。その手がかりとなっているのが、永禄6年(1563)頃、信虎が京に上り、第13代将軍足利義輝の相伴衆(しょうばんしゅう)になっていることである。相伴衆というのは、将軍が諸大名を饗応するときに相伴を許される人のことで、それ相応の身分の出でないと務まらない。信虎は、戦国大名武田家の当主だった経歴をもっているわけで、将軍からも一目置かれる存在であった。  ただ、その後の信虎についてはほとんど史料がなく、信長の台頭にどう対処しようとしていたのかもわからない。どこまでが史実で、どこからがフィクションなのかがわからない演出はみごとというしかない。  いずれにせよ、信虎の目線で、戦国大名武田家の盛衰が一本の筋となり、信玄死後の勝頼の葛藤、家臣たちの動向など、戦国大名武田家の物語というだけでなく、戦国時代の人間模様をみごとに描ききった作品である。
戦国史研究家:小和田哲男 ~TETSUO Owada~ 1944年生まれ。戦国史研究の第一人者。静岡大学名誉教授。日本城郭協会理事長。武田氏研究会会長。『甲陽軍鑑』の再評価者の一人。
あの男が帰ってきた――。誰も予想しなかった帰還を果たした一人の男、武田信虎がもたらした波紋は、戦国最強軍団に不協和音を奏でていく。最高の演技陣に美しいカメラワーク。令和の戦国映画はこれだ!
歴史小説作家:伊東 潤 ~JUN Ito~ 1960年生まれ。歴史小説作家。『武田家滅亡』(角川書店)でデビュー。『国を蹴った男』で第34回吉川英治文学新人賞受賞。『峠越え』で第20回中山義秀文学賞受賞。直木賞候補5回。

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