寺田 農 / 武田信虎(無人斎道有)
TERADA Minori
1942年生まれ。東京都出身。1961年、文学座附属演劇研究所に第1期生として入所。同年の『十日の菊』で初舞台を踏む。五所平之助監督『恐山の女』(1965)で映画デビューを飾り、日本テレビ『青春とはなんだ』(1965)『これが青春だ』(1967)に出演し注目を集める。岡本喜八監督『肉弾』(1968)で毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。以降も多数の作品に出演し、中でも岡本喜八監督(『赤毛』1969、『座頭市と用心棒』1970など)、実相寺昭雄監督(『無常』1970、『帝都物語』1988など)、相米慎二監督(『セーラー服と機関銃』1981、『ラブホテル』1985など)の常連俳優となる。ドラマ・映画のほか、ナレーター・声優としても活躍しており、特に宮崎駿監督『天空の城のラピュタ』(1986)のムスカ大佐役を務めたことで知られている。近年の出演作に、武正晴監督『嘘八百』(2018)、内藤瑛亮監督『ミスミソウ』(2018)、清水祟監督『犬鳴村』(2020)松村克弥監督『祈り ―幻に長崎を想う刻(とき)―』(2021)などがある。NHK大河ドラマ『徳川家康』(1983)明智光秀役、『独眼竜政宗』(1987)大内定綱役、『信長 KING OF ZIPANGU』(1992)・『江〜姫たちの戦国〜』(2011)浅井久政役で反骨の戦国武将を演じた。
谷村美月 / お直
TANIMURA Mitsuki
1990年生まれ。大阪府出身。2002年、NHK連続テレビ小説『まんてん』でデビュー。映画初出演にしてヒロインを演じた、塩田明彦監督『カナリア』(2005)で高崎映画祭新人女優賞、小林聖太郎監督『かぞくのひけつ』(2006)でおおさかシネマフェスティバル女優新人賞受賞。細田守監督『時をかける少女』(2006)、『サマーウォーズ』(2009)などアニメ映画にも多数出演し、声優としても活躍している。主な出演作に、三池崇史監督『神様のパズル』(2008)、熊切和嘉監督『海炭市叙景』(2010)、藤井道人監督『幻肢』(2014)、松岡錠司監督『続・深夜食堂』(2016)、安達寛高監督『シライサン』(2020)などがある。時代劇では、テレビ東京『影武者 徳川家康』(2014)、NHK BSプレミアム『螢草 菜々の剣』(2019)などに主演している。
矢野聖人 / 黒川新助
YANO Masato
1991年生まれ。東京都出身。2010年に蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』オーディションでグランプリを獲得。俳優として活動を開始し、同年テレビドラマ『GOLD』でデビュー。以降、ドラマ『リーガル・ハイ』シリーズや『GTO』シリーズなどに出演。2011年、田中誠監督『もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』で映画初出演。主な出演作に、石川淳一監督『エイプリルフールズ』(2015)、主演作である藤原和之監督『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』(2018)、久保茂昭監督『HiGH&LOW THE WORST』(2019)、タカハタ秀太監督『鳩の撃退法』(2021)などがある。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(2020)では土岐頼純役を好演した。10月から放送中のフジテレビ月9ドラマ『ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~』にレギュラー出演中。
荒井敦史 / 武田勝頼
ARAI Atsushi
1993年生まれ。埼玉県出身。2008年、第21回JUNONスーパーボーイコンテストでのビデオジェニック賞受賞をきっかけ芸能界デビュー。金子修介監督『ポールダンシングボーイ☆ず』(2011)で、映画デビューにして初主演を果たし、金子監督の指名を受け、次作『メサイア』(2011)でも主演を務めた。近年ではドラマ『水戸黄門』(2019)や、『まだ結婚できない男』(2019)、久保茂昭監督『HiGH&LOW THE WORST』(2019)など幅広い作品に出演してきている。他の主な出演作に、堤幸彦監督『真田十勇士』(2016)、作道雄監督『神さまの轍-CHECKPOINT OF THE LIFE-』(2018)、本木克英監督『居眠り磐音』(2019)などがある。テレビ時代劇では、NHK BSプレミアム『柳生一族の陰謀』(2020)で徳川忠長役を演じた。
榎木孝明 / 上杉謙信
ENOKI Takaaki
1956年生まれ。鹿児島県出身。1984年NHK連続テレビ小説『ロマンス』でデビュー。市川崑監督『天河伝説殺人事件』(1991)での浅見光彦役が好評を博し、フジテレビ系『浅見光彦シリーズ』でも浅見役を続投した。その後も行定 勲監督『春の雪』(2005)、五十嵐匠監督『半次郎』(主演・2010)など大作に数多く出演。上杉謙信役での出演は角川春樹監督『天と地と』(1990)以来2度目となる。ドラマ・映画のみならず、水彩画や旅行記・エッセイなど幅広い分野で活躍している。近年の主な出演作に、角川春樹監督『みをつくし料理帖』(2020)、田中光敏監督『天外者』(2020)などがある。NHK大河ドラマでは、『八代将軍吉宗』(1995)で柳沢吉保役、『真田丸』(2016)で穴山梅雪役を演じている。
永島敏行 / 武田信玄・武田逍遥軒
NAGASHIMA Toshiyuki
1956年生まれ。千葉県出身。1977年に鈴木則文監督『ドカベン』でデビュー。翌78年に、東陽一監督『サード』に主演し、日本アカデミー賞をはじめ数多くの新人賞を受賞する。1981年には根岸吉太郎監督『遠雷』で第24回ブルーリボン賞主演男優賞を受賞。その後も日本テレビドラマ『あきれた刑事』(1987)や金子修介監督『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)など様々なジャンルの作品に出演。俳優以外の活動として「マルシェ青空市場」を主催。秋田県立大学客員教授も務める。近年の主な出演作に、角川春樹監督『みをつくし料理帖』(2020)瀬々敬久監督『糸』(2020)などがある。NHK大河ドラマでは『風林火山』(2007)で村上義清役を演じた。
渡辺裕之 / 織田信長
WATANABE Hiroyuki
1955年生まれ。茨城県出身。1980年より芸能活動を開始し、1982年よりリポビタンDのCMに出演し人気を博す。同年和泉聖治監督『オン・ザ・ロード』で映画デビュー。代表作は、テレビドラマ『愛の嵐』『華の嵐』『夏の嵐』(1986−89)、平成ガメラシリーズ(1995−1999)など。ジョー・リンチ監督『エヴァリー』(2015)ではサルマ・ハエックと共演した。俳優のほか、スポーツマン、ミュージシャンとしても活躍している。近年の主な出演作に、大林宣彦監督『海辺の映画館―キネマの玉手箱』(2020)、アレクサンドル・ドモガロフ・ジュニア監督『ハチとパルマの物語』(2021)などがある。テレビ時代劇ではTBS『武田信玄』(1991)で織田信長役、NHK大河ドラマ『葵 徳川三代』 (2000)で浅野幸長役、『利家とまつ~加賀百万石物語〜 (2002)で池田恒興役を演じた。
隆 大介 / 土屋伝助
RYU Daisuke
1957年生まれ。無名塾に第1期生として入塾し、1977年に岡本喜八監督『姿三四郎』でデビュー。黒澤明監督『影武者』(1980)でブルーリボン賞、及び日本アカデミー賞の新人賞を獲得。NHK大河ドラマ『峠の群像』(1982)ではエランドール新人賞を受賞した。その後、村野鐵太郎監督『遠野物語』(1982)に出演し、同監督『国東物語』(1985)では主演を務めた。1985年には黒澤明監督『乱』や小林正樹監督『食卓のない家』など、日本映画界の巨匠の作品に携わった。他に主な出演作に、橋本忍監督『幻の湖』(1982)、五社英雄監督『北の螢』(1984)、同監督『226』(1989)、大森一樹監督『継承盃』(1992)、石井聰亙監督『五条霊戦記 GOJOE』(2000)など。2021年4月11日没。テレビ時代劇では、NHK大河ドラマ『峠の群像』(1982)で浅野内匠頭役、NHK新大型時代劇『武蔵坊弁慶』(1986)で平知盛役を演じ話題となった。本作『信虎』が遺作となる。
左伴彩佳 / お弌
HIDARITOMO Ayaka
1998年生まれ。山梨県富士吉田市出身。2014年、アイドルグループAKB48・チーム8(山梨代表)のメンバーとしてデビュー。公式ニックネームは「ひだあや」。2017年、チーム再編成に伴い込山チームKの兼任が発表。「RESET」(2019)、「その雫は、未来へと繋がる虹になる」(2019)、「マジムリ学園 蕾-RAI-」(2021)数々の劇場公演やイベントに出演。本作『信虎』が初の映画出演となる。
柏原収史 / 柳澤保明(吉保)
KASHIWABARA Shuji
1978年生まれ。山梨県甲府市出身。1994年のTBSドラマ『人間失格〜たとえばぼくが死んだら』でデビュー。大林宣彦監督『あした』(1995)で映画初出演を飾り、黒木和雄監督『スリ』(2000)では日本映画批評家大賞新人賞を受賞。ミュージシャンとしての一面も持ち、バンド活動やアーティストへ楽曲提供も行っている。近年の主な出演作に、荻上直子監督『彼らが本気で編むときは』(2017)、ANARCHY監督『WALKING MAN』(2019)などがある。
監督:金子 修介
KANEKO Shusuke
1955年生まれ。東京都出身。大学卒業後、日活に入社。根岸吉太郎監督や森田芳光監督の作品で助監督を務める。『宇能鴻一郎の濡れて打つ』(1984)で監督デビュー。同年、ヨコハマ映画祭新人監督賞受賞。『1999年の夏休み』(1988)がニューヨーク美術館ニューディレクターニューフィルムに選出、横浜映画祭監督賞。『ガメラ・大怪獣空中決戦』(1995)で第38回ブルーリボン監督賞、映画芸術誌邦画ベスト10第1位。『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)で第17回日本SF大賞。『ガメラ3 イリス覚醒』(1999)を含む平成『ガメラ』3部作が大ヒットし、怪獣映画に新風を吹き込む。『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)、『デスノート』と『デスノート the Last name』(2006)が国内のみならず香港、韓国でも大ヒットし、ブリュッセル映画祭では観客賞を受賞。他に『1999年の夏休み』(1988)、『咬みつきたい』 (1991)、『クロスファイア』(2000)、『プライド』(2009)、『ばかもの』(2010)、『リンキングラブ』(2017)などでメガホンを取った。時代劇では、『あずみ2』(2005)、テレビドラマ『おそろし~三島屋変調百物語』(2014)に次いで『信虎』が3作目となる。
共同監督・脚本・美術・装飾・編集・
時代考証・キャスティング:
宮下 玄覇
MIYASHITA Harumasa
1973年生まれ。神奈川県出身。株式会社宮帯、株式会社宮帯出版社代表取締役。日本甲冑武具研究保存会評議員。宮帯文庫長。茶書研究会理事。歴史・甲冑・茶道書などを企画出版し、戦国武将追善茶会などのイベントを主宰。2014年の古田織部400年遠忌を機に、一般財団法人古田織部美術館を創設し館長に就任。温知会・古田織部流茶湯研究会会長として織部流茶道の普及・啓発に努めている。2015年、江戸時代前期に小堀遠州が造り、解体から140年間古材が眠っていた、日本一窓が多い茶室「擁翠亭(十三窓席)」を復原した。同年、東京・名古屋・京都の巡回展 「利休を超えた織部とは―?」を主催した。2021年には樂焼玉水美術館を開館。映像関連では2008年よりNHKプラネット近畿で毎年の大河ドラマ特別展の映像製作協力から始まり、武正晴監督『嘘八百』(2018)、続編『嘘八百 京町ロワイヤル』(2020)では、古美術監修および茶道指導を行った。『信虎』で初の共同監督・脚本・プロデューサー等を務める。
音楽:池辺 晋一郎
IKEBE Shinichiro
1943年生まれ、水戸市出身。1967年東京藝術大学卒業。1971年同大学大学院修了。池内友次郎、矢代秋雄、三善 晃、島岡 譲に師事。1966年日本音楽コンクール第1位。同年音楽之友社室内楽曲作曲コンクール第1位。68年音楽之友社賞。以後ザルツブルクTVオペラ祭優秀賞、イタリア放送協会賞(3回)、国際エミー賞、芸術祭優秀賞(4回)、尾高賞(3回)、横浜文化賞、姫路市芸術文化大賞などを受賞。1997年NHK交響楽団・有馬賞、2002年放送文化賞、2004年紫綬褒章、2016年第24回渡邉暁雄音楽基金特別賞を受賞。2018年文化功労者に選出される。現在東京音楽大学名誉教授、東京オペラシティ・ミュージックディレクター、石川県立音楽堂・洋楽監督、せたがや文化財団音楽事業部音楽監督。ほか多くの文化団体の企画運営委員、顧問、評議員、音楽コンクール選考委員などを務める。
映画音楽では、黒澤明監督作品では、『影武者』(1980)以降、『乱』(1985)を除くすべての作品の音楽を担当、今村昌平、篠田正浩の後期作品も数多く手がけている。日本アカデミー賞では、優秀音楽賞を9回受賞、うち3回は最優秀音楽賞である(1984年・篠田正浩監督『瀬戸内少年野球団』、1990年・篠田正浩監督『少年時代』/黒澤 明監督『夢』/斎藤武市監督『流転の海』、2009年・木村大作監督『劔岳 点の記』)。また、毎日映画コンクールにおいても音楽賞を3回(1980年・『影武者』、1984年・『瀬戸内少年野球団』、1990年・『夢』、『少年時代』)受賞している。さらにカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した日本映画についていえば、『影武者』、今村昌平監督『楢山節考』(1983)、同『うなぎ』(1997)の3作連続して池辺が音楽を担当した作品であることは特筆すべきである。テレビドラマ・アニメでは『黄金の日々』(1978)、『未来少年コナン』(1978)、『独眼竜政宗』(1987)、『八代将軍吉宗』(1995)、『元禄繚乱』(1999)などがあり、そのほかにも多数の映画・ドラマや演劇など約500本で音楽を担当した。
1960年生まれ。前田米造カメラマンに師事、森田芳光監督『それから』(1985)、伊丹十三監督『マルサの女』(1987)、角川春樹監督『天と地と』(1990)等に携わる。2003年日活撮影所撮影部を退職後フリーとなり、映画、テレビの撮影を担当。現在、日本映画撮影監督協会(JSC)専務理事。主な担当作品に、崔 洋一監督『東京デラックス』(1995)、篠原哲雄監督『草の上の仕事』(1993)、 同『月とキャベツ』(1996)、同『天国の本屋~恋火~』(2004)、同『地下鉄(メトロ)に乗って』(2006)、同『スイート・ハート・チョコレート』(2013)、荻野洋一監督『ウイリアム・テロル,タイ・ブレイク』(1994)、橋口亮輔監督『渚のシンドバッド』(1995)、同『ハッシュ!』(2001)、同 『ぐるりのこと。』(2008)、『ゼンタイ』(2013)、 同『恋人たち』(2015)、富樫 森監督『ごめん』(2002)、荻上直子監督『バーバー吉野』(2004)、森 義隆監督『ひゃくはち』(2006)、園 子温監督『ちゃんと伝える』(2009)、谷口正晃監督『時をかける少女』(2010)、同『ミュジコフィリア』(2021)、朝原雄三監督『愛を積むひと』(2015)、菅原浩志監督『早咲きの花』(2006)、同『写真甲子園0.5秒の夏』(2017)、両沢和幸監督『みんな生きてる』(2021)などがある。
武田家考証・字幕・ナレーション協力:
平山 優
HIRAYAMA Yu
1964年生まれ。東京都出身。立教大学大学院文学研究科博士前期課程史学専攻(日本史)修了。専攻は日本中世史・近世史。山梨県埋蔵文化財センター文化財主事、山梨県史編纂室主査、山梨大学非常勤講師、山梨県教育庁学術文化財課主査、山梨県立博物館副主幹を経て、現在山梨県立中央高等学校教諭。2016年放送のNHK大河ドラマ『真田丸』時代考証担当。主要著書に、『戦国大名領国の基礎構造』(1999・校倉書房)、『川中島の戦い』上・下巻(2002・学研M文庫)、『長篠合戦と武田勝頼』(2014・吉川弘文館)、『検証長篠合戦』(2014・吉川弘文館)、『天正壬午の乱 増補改訂版』(2015・戎光祥出版)『武田氏滅亡』(2017・角川選書)、『戦国の忍び』(2020・角川新書)、『武田信虎』 (2019・戎光祥出版)、『武田三代 信虎・信玄・勝頼の史実に迫る』(2021・PHP新書)など多数。